【おすすめTED超要約】予想通りに不合理。行動経済学の基礎をTEDで学ぼう

おすすめTED解説_予想通りに不合理。行動経済学の基礎をTEDで学ぼう TED Talks 解説

こんにちは、ricaです。

TED Talksを300コンテンツ以上視聴してきたTED Talksマニアの私が、おすすめの TED talks を紹介します。

今回は、行動経済学についてのトピックをピックアップします。

行動経済学とは?

行動経済学とは、私たちの”心の働き”に注目し、金融や経済などの動きを理解しようとする経済学の一分野です。

これまでの経済学は、人間は常に合理的で、経済も金融も合理的な人間によって出来上がっているという考え方に基づいていました。

しかし、実際の人間はときにバカなこともします。そういう”生身の人間”が作っている経済や金融は、どうしても人間の”心”に酔って理屈から離れて動くこともあります。

つまり、行動経済学は、それまでの伝統的な経済学をより実際の経済や金融の姿に近づけることを目指した学問と言えます。

「知識ゼロでも今すぐ使える! 行動経済学見るだけノート 真壁昭夫 著」より引用

 

本talkは、こちらのベストセラー本の内容がベースとなっています。

堅苦しい説明はなく、事例ベースで行動経済学がどんなものなのかがライトに紹介されているので、楽しんで聴けるトークです。

いつもはtalk全体の雰囲気やスピーカーの話し方、ジョークなどのおもしろさを伝えるため、網羅的に引用と解説をしていましたが、

今回は15分超とやや長めのプレゼンであるということもあり、「ざっくりどんな内容のプレゼンなのか」が分かるよう、超要約バージョンで書いてみます。

(単語やフレーズの解説はないのですが、需要あるのだろうか・・・)

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Are we in control of our own decisions?
我々は本当に自分で決めているのか?

Dan Ariely
ダン・アリエリー

2008年12月
17:26

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人間の視覚機能はとてもいい加減

このような絵を見たことがある人も多いかと思います。

左の机と右の机、どちらの方が長く見えるでしょうか。

まったくもってそうは見えないのですが、答えは「両方同じ」ですね。

こちらはどうでしょう。

信じられないですが、、、同じ色ですね。

頭では理解していても、目はそのように見せてくれません。

There is no way for us not to see this illusion.

この錯覚を避ける方法はありません

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アンケートや実験は初めから設計者によって結果が決められている

これは、「臓器を寄付すること」に対して関心を示した人の割合を示しています。

(画像が粗くてすみません)

右側の国がほぼ100%関心を示しているのに対し、左側の国は抵抗感を示しているように見えます。

一見、文化的な背景や宗教的な理由があるのかと色々と邪推してしまいますが、

この差は調査票の質問の仕方の違いによるためです。

左側の青矢印の国民へは、このように質問をしていました。

臓器提供プログラムに参加したければ、チェックをしてください

一方、右側の赤矢印の国民へは、このように質問をしていました。

臓器提供プログラムに参加したくなければ、チェックをしてください

We can say, “Oh, these funny Europeans, of course it would influence them.”
But when it comes to us,
we have such a feeling that we’re in the driver’s seat, such a feeling that we’re in control and we are making the decision,
that it’s very hard to even accept the idea that we actually have an illusion of making a decision, rather than an actual decision.

「あの変なヨーロッパの連中なら そうだろうさ」 とは思っても
自分たちに関しては
自分で制御している感覚があります 自分でコントロールしていて 決定を下しているという感覚があり
実は決定している幻影を 見ているに過ぎないんだという考えを 受け入れるのは大変難しいです

とすると、こういうグラフは作ってはいけないし、騙されてはいけないですね。

実は、これは私自身にも経験があります。

マーケティング領域でのある戦略を立案していた際、消費者に対するアンケート調査をおこなったんですね。

アンケートには物凄くコストがかかります。(アンケート設計、アンケート業者への委託費、集計、資料化など・・・)

限られた予算の中で実施しますので、そのアンケート結果からは必ずなにかしらの示唆を得る必要があります。

ある程度、「得たい結果」「得られるであろう結果」に的を絞ってアンケートを設計するので、回答者を誘導するような質問になることがあります。

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条件の僅かな差で重要な意思決定結果が変わってくる

お次は、高い報酬を得ている医師の意思決定に関する事例です。

大手術を控えたある患者がいます。

ですが、直前になりAという薬を試し忘れていたことが発覚します。

このような状況下において、医師の半数以上は、Aという薬を試すことを選択します。

しかし、これが試し忘れていた薬がAとB、2つ以上あるとなると、結果が変わってきます。

手術を選択する医師が大多数となるのです。

手術を受けさせる方は簡単ですが、薬剤を選ぶとなるととたんに複雑になるからなのだそうです。

始めから手術、薬A、薬Bという選択肢があれば手術を選択する医師はいないのに・・・ですよ。

不思議なプライシングの例

イギリスの週刊誌エコノミストの定期購読についての事例です。

赤線を引いたところを読んでみてください。

上から、

・オンライン定期購読59ドル

・雑誌の定期購読125ドル

・雑誌とオンラインの定期購読125ドル

となっています。

これをみたスピーカーのダンさんは、MITの学生にどれを選ぶかアンケートを取ったところ、大部分の人が一番下の「両方」を選びました。

What was happening was the option that was useless, in the middle, was useless in the sense that nobody wanted it.
But it wasn’t useless in the sense that it helped people figure out what they wanted.

これが何を意味するかというと、真ん中の役に立たない選択肢は 誰もそれを望まないという点では役立たずですが
人に自分が望むものを分らせる点で 役立たずではなかったのです

では、真ん中の選択肢「雑誌の定期購読125ドル」を消してみるとどうでしょう?

大部分の人が今度は一番上の「オンライン定期購読59ドル」を選択しました。

The general idea here, by the way,
is that we actually don’t know our preferences that well.
And because we don’t know our preferences that well, we’re susceptible to all of these influences from the external forces.

ここでの基本的な考え方は 我々は自分の好みをよく分ってないということです
そして自分の好みをあまり知らないがゆえに 我々は外部の影響を受けやすいのです

合コンには少し醜いバージョンの自分を連れて行くと良い

あるグループ(FormA)に、トムとジェリーどちらとデートがしたいか尋ねます。

トムとジェリーの真ん中に、uglyバージョンのジェリーを入れると、ジェリーの人気は急上昇。

FormBグループでも、トムのuglyバージョンを入れると、トムの人気が上昇します(笑)

If you ever go bar-hopping, who do you want to take with you?
You want a slightly uglier version of yourself.

もし飲み歩きに行くなら誰を一緒に連れて行くか
少し醜いバージョンの自分を連れて行きたいですね

行動経済学が目指すものとは

物理的なものを作るとき、私たちは身体的な限界を理解し設計しています。

(例えば、1万段の階段は作りませんよね)

一方で、健康保険、年金、株式市場のような精神的なものをデザインする時には、私たちは知覚の限界というものを考慮することができていません。

物理的な世界の限界を理解できているように、認識的な世界の限界も理解することができれば、より良い世界を設計することができる。

それが、行動経済学の希望なのだそうです。

このtalkのまとめ

  1. 私たちは自分で意思決定していると考えがちだが、実際にはその意思決定は誰かに誘導されていることが多い
  2. 私たちは自分の好みをよくわかっておらず、外部の影響を受けやすい
  3. 人間の理不尽な行動に合わせた世界を設計することが、行動経済学の目指すところである

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いかがでしたか?

私たちは無意識に誤った選択や判断をしているということが分かるtalkでした。

行動経済学ブームに火をつけたベストセラー!

「現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する」「頼まれごとならがんばるが安い報酬ではやる気が失せる」「同じプラセボ薬でも高額なほうが効く」――。人間は、どこまでも滑稽で「不合理」。でも、そんな人間の行動を「予想」することができれば、長続きしなかったダイエットに成功するかもしれないし、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれない!

Amazon公式サイトより抜粋

Kindle、Audible版もあります。

行動経済学は、17年にノーベル賞(経済学賞ですが)を獲得していて、近年とても注目されている学問分野です。

社会人の教養として、少なくとも大枠ぐらいは掴んでおきたいですね。

それでは♡

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