【おすすめTED解説】ゲーム理論「囚人のジレンマ」は私たちの生活にどう関係してくるのか

TED talks 囚人のジレンマ TED Talks 解説

こんにちは、ricaです。

TED Talks を300コンテンツ以上視聴してきた私が、おすすめの TED Talks を解説付きで紹介します。

Talkの内容を要約しながら英単語やフレーズなどピックアップしています。

英語学習にも、日々の学びにもお役立ていただけると思いますので是非ご覧ください♩

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先日、TED-Edの動画から、ゲーム理論のナッシュ均衡に関するトピックをピックアップしました。

今回は、同じゲーム理論の中でも最も基本的な概念である囚人のジレンマについての解説です。

前半は囚人のジレンマとは何か、という基本的なことについての解説、
後半は応用編の「繰り返しの囚人のジレンマ」について解説がされています。

この「繰り返しの囚人のジレンマ」は私たちの生活にも深く影響してきますので、政治や経済を知る上でも理解しておいて損はない概念ですね。

このtalkの要旨

  • 囚人のジレンマにおいては、お互いに裏切ることが合理的
  • 繰り返しの囚人のジレンマにおいては、お互いに協力することが合理的
  • 囚人のジレンマは通商交渉や国際政治においても使える考え方

How to outsmart the prisoner’s dilemma
囚人のジレンマを覆すには?

Lucas Husted
ルーカス・ハステッド

5:24

2020年8月

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囚人のジレンマの基本をおさらい!

Two perfectly rational gingerbread men, Crispy and Chewy, are out strolling when they’re caught by a fox.
Seeing how happy they are,

he decides that, instead of simply eating them,
he’ll put their friendship to the test with a cruel dilemma.

合理的思考を備えた二人のクッキー クリスピーとチューイーが散歩していると 一匹のキツネに出くわしました
二人がいかにも仲良しに見えたので
いきなり食べてしまうのではなく ジレンマ (板挟み) の状況を作り
二人の友情を試すことにしました

rica
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今回のお話の登場人物はこちらのお三方です。

He’ll ask each gingerbread man whether he’d opt to Spare or Sacrifice the other.

そこで 一人ずつに 二人のうち どちらを犠牲にするか聞きました

NEW WORD

spare(動詞):とっておく、免れさせる

スペアというと日本語でも「予備の」という意味でよく使われていますが、実はたくさんの意味があります。

この文脈においては「救う」というニュアンスが最適かと思います。

They can discuss, but neither will know what the other chose until their decisions are locked in.

二人は 話し合うことはできても 相手の選択を 最後まで知ることはできません

NEW WORD

lock in:鍵をかけて閉じ込める

決定したことが「確定になる」といった意味で使われていますね。

rica
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ここから先は、

  1. 2人とも自分の犠牲を選ぶ(2人とも自分を犠牲パターン)
  2. 私は自分の犠牲を選んだのに、友人は裏切って私の犠牲を選んだ(友人だけが裏切り者パターン)
  3. 私は友人を裏切って友人の犠牲を選んだが、友人は自らの犠牲を選んだ(私だけが裏切り者パターン)
  4. 2人とも相手の犠牲を選ぶ(2人とも裏切り者パターン)

この4つのパターンにおける条件が提示されます。

パターン①:2人とも自分を犠牲にする

If both choose to spare the other, the fox will eat just one of each of their limbs;

キツネは 両方が 自分の犠牲を選べば 二人とも手か足を1本ずつ食べ

パターン②:友人だけが裏切り者パターン③:私だけが裏切り者

if one chooses to spare while the other sacrifices,
the sparer will be fully eaten,
while the traitor will run away with all his limbs intact.

片方が自分の犠牲を選び もう片方が相手の犠牲を選んだら
自分の犠牲を選んだ方を丸ごと食べ
相手の犠牲を選んだ方は 逃がしてやろうと思いました

NEW WORD

traitor:裏切り者

NEW WORD

intact:完全なままの、傷がない、損傷を受けていない

パターン④:2人とも裏切り者

Finally, if both choose to sacrifice, the fox will eat 3 limbs from each.

そして 両方とも相手の犠牲を選べば 二人から手足を3本ずつ食べるつもりでした

4つのパターンを図で整理

rica
rica

私は良い人を貫くべきか?裏切るべきか?どちらが合理的な選択なのでしょうか。

図で整理しましょう。

The rows represent Crispy’s choices, and the columns are Chewy’s.
Meanwhile, the numbers in each cell represent the outcomes of their decisions,
as measured in the number of limbs each would keep:

横列はクリスピーの選択 縦列はチューイの選択です
各セルに 選択によって残る手足の数が 書かれています
選択によって残る手足の数が 書かれています

NEW WORD

row:列(横の列)、行

NEW WORD

column:柱、縦の列

rowとcolumnはセットで覚えておきたいですね。

NEW WORD

meanwhile:その間に、そうしている間に、話は変わって、

rica
rica

このマトリクスは、それぞれの選択をした時に残る手足の数が示されています。セル内の左側の数字がCrispyの手足の数、右側がChewyの手足の数です。

各セルのSpare,Sacrificeの対象は「相手を」ですね。

囚人のジレンマの代表的な例では、Spareが黙秘、Sacrificeが自白にあたります。

最適な選択はどちらか?

rica
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Chewyの立場で考えてみましょう。

If Crispy spares him, Chewy can run away scot-free by sacrificing Crispy.

二人とも クリスピーの犠牲を選択すれば チューイは4本無傷で逃げることができます

NEW WORD

scot-free:罰を免れて、無事に

But if Crispy sacrifices him, Chewy can keep one of his limbs if he also sacrifices Crispy.

クリスピーもチューイも 相手の犠牲を選択すれば 手足は1本だけ残ります

No matter what Crispy decides, Chewy always experiences the best outcome by choosing to sacrifice his companion.

つまり クリスピーがどっちを選択しても クリスピーの犠牲を選択すれば チューイに最善の結果となるわけです

This is the standard conclusion of the Prisoner’s Dilemma: the two characters will betray one another.

このように「囚人のジレンマ」は お互いを裏切るのが 標準的な結末です

rica
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2人ともSpareを選べば3本ずつ残りますが、

相手がどうでるか分からない状況下においてはSacrificeを選択するのが合理的であるということですね。

各プレーヤーの合理的な意思決定の結果がナッシュ均衡点

Their strategy to unconditionally sacrifice their companion is what game theorists call the “Nash Equilibrium,”
meaning that neither can gain by deviating from it.

迷わず相手を犠牲にするこの状況を ゲーム理論家は 「ナッシュ均衡」と呼びます
この均衡が崩れると どちらにも得ではありません

NEW WORD

unconditionally:無条件に

conditionは”条件”の意味です。

NEW WORD

deviate:それる、外れる

rica
rica

囚人のジレンマの基本的なお話はここまでです。

ここからは応用編の「繰り返しの囚人のジレンマ」についての解説です。

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繰り返しの囚人のジレンマとは?

Normally, this is where the story would end, but a wizard happened to be watching the whole mess unfold.

通常 お話はここで終わるのですが たまたま一人の魔法使いが この騒ぎを 一部始終見ていました

NEW WORD

wizard:魔法使い

He tells Crispy and Chewy that, as punishment for betraying each other,
they’re doomed to repeat this dilemma for the rest of their lives,
starting with all four limbs at each sunrise.
Now what happens?

そして 二人にお互いを裏切った罰として
一生 ジレンマを繰り返す 魔法をかけました
毎朝 日の出とともに 4本の手足がそろい 1日が始まります
さて 何が起こるでしょうか?

NEW WORD

be doomed:運命づけられている

doomは「運命」という意味です。

This is called an Infinite Prisoner’s Dilemma, and it’s a literal game changer.
That’s because the gingerbread men can now use their future decisions as bargaining chips for the present ones.

これは「繰り返し囚人のジレンマ」と言い 全く逆の結末を迎えます
なぜなら 未来の選択を 交渉の切り札として 利用することができるからです

NEW WORD

bargaining chips:交渉の切り札

bargainingは「交渉」という意味。

rica
rica

単純な囚人のジレンマの場合は、お互いの裏切りが合理的な選択でしたね。

それが繰り返しになると、お互いが自分を犠牲にする、という選択をすることが合理的になるのだそうです。

このあとに理由が説明されています。

Consider this strategy: both agree to spare each other every day.
If one ever chooses to sacrifice, the other will retaliate by choosing “sacrifice” for the rest of eternity.

例えば 二人で毎日 自分を犠牲にしようと決めたのに
一人が裏切って 相手の犠牲を選択したら もう一人は 翌日から永遠に 裏切り返してくるでしょう

NEW WORD

retaliate:報復する、仕返しする

To figure that out, we have to factor in another consideration:
the gingerbread men probably care about the future less than they care about the present.

この答えを出すために 違う角度から考える必要があります
二人はおそらく 今 未来のことより 今日の心配だけしているはずです

In other words, they might discount how much they care about their future limbs by some number,
which we’ll call delta.

少し難しく言えば 未来の心配は ある数値の分 減って行くはずです
その数値は δ (デルタ) と言います

If delta is one half,
on day one they care about day 2 limbs half as much as day 1 limbs,
day 3 limbs 1 quarter as much as day 1 limbs, and so on.

例えば δ(デルタ) が2分の1の場合
初日の選択時の 手足の数の心配量は 2日目が1日目の半分
3日目が1日目の4分の1です

rica
rica

数日後の手足の量よりも、今日の手足の量(手足の量ってすごい日本語w)を重視して考えるということですね。

δ(デルタ)は0~1の間で表されます。

A delta of 0 means that they don’t care about their future limbs at all,
so they’ll repeat their initial choice of mutual sacrifice endlessly.

δ が0の場合 未来のことを心配していないことを意味し
二人は 永遠に相手の犠牲を— つまり 最初の選択を繰り返します

But as delta approaches 1,
they’ll do anything possible to avoid the pain of infinite triple limb consumption,
which means they’ll choose to spare each other.

δ が1の場合は
毎日 3本の手足を失わないように 苦渋の選択でもするでしょう
つまり 自分の犠牲を選択するのです

At some point in between they could go either way.

ある特定の時点を境に 二人にとって 得か損かに分かれます

We can find out where that point is
by writing the infinite series that represents each strategy,
setting them equal to each other, and solving for delta.

どの時点かは それぞれのケースの計算式を 書き出すことでわかります
二人の利得を等しくし δ の数値を求めます

この数式を理解する必要は全くないです(笑)
NEW WORD

yield:産出する、もたらす

That yields 1/3,
meaning that as long as Crispy and Chewy care about tomorrow at least 1/3 as much as today,
it’s optimal for them to spare and cooperate forever.

答えは δ が3分の1
— つまり 二人の翌日の心配量が 今日の時点で 少なくとも3分の1あれば 互いに協力し 自分の犠牲を選び続けるという 最善策をとるのです

rica
rica

だいぶ複雑な話になってしまいましたが、

要するにある一定条件下における繰り返しの囚人のジレンマにおいては2人が協力し合い続けるのが最も良い選択であるということです。

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繰り返しの囚人のジレンマは私たちの生活にどう関係してくる?

This analysis isn’t unique to cookies and wizards;
we see it play out in real-life situations like trade negotiations and international politics.

この分析は クッキーと魔法使いの話に限りません
通商交渉や 国際政治などの現場でも よくあることです

Rational leaders must assume that
the decisions they make today will impact those of their adversaries tomorrow.

理性ある指導者なら
自らの決定が 敵陣の決定に影響を与えることを 想定しておかなければなりません

NEW WORD

adversary:敵、敵国、勝負などの相手

Selfishness may win out in the short-term,
but with the proper incentives, peaceful cooperation is not only possible, but demonstrably and mathematically ideal.

利己的行動は 適切なインセンティブがあれば 短期的には得かもしれませんが
平和的協力は 単に可能であるだけでなく 論証的にも数学的にも最善なのです

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いかがでしたか?

このような概念を知っているだけでも、少しものの見方が変わって面白いですよね。

本動画の内容を理解するために以下の動画を参考にさせていただきましたがとても分かりやすかったです。

それでは♡

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